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建築の未来予想 vol.1

更新日:1月17日

VOL.5


ブログはvol.5。前回書きあげようと思っていたなんてことのない内容をアップするかな。というところから、ん?待てよ?と。


一建築デザイナーが書いているブログなのに建築やデザインの事をほとんど書いてない。このままでは完全なる個人的な日記になってしまう…そんなもの誰一人として読まないに違いない。というところで、表題の通り、未来の建築ってどんなものになるのだろう?というテーマです。


学生時代から延々とプロアマ問わず"建築や建物の話"というものはしては来ましたが、それらは考えてみると筆者と直接ご縁のある方々という範囲にとどまっていたし、実務という現実の範疇でモノを考えて「創造」するのは公人としてのある種の義務とか責務のようなものもの(好きでやっているだけながら)なわけではありますが、「想像」した事・している事を発信してみる、サッカーで言えばずっとドリブルばかりしていても拉致があかないモノゴトというのは存在するので、多種多様な友人や知人、仕事上での関係者各位、自分も知らない誰かという不特定多数の方々にパスをしてみることで、それがどこであれ新しい何かが生まれたらいいな。と。


たしか、コルビュジェの著書の中でも建築学生の必読書とされているような『建築を目指して/ル・コルビュジエ』(現在は『錯乱のニューヨーク/レム・コールハース』に取って代わられたりするのだろうか。)は一冊の本としてまとめて書き上げられた訳ではなく、雑誌か何かに寄稿していたコラムを集約したものでした。


ここに書いていくことが大なり小なり後世に影響を与え続けるような内容にまでなるとは到底思えませんが、発信する事でパスしたものがカタチを変えてまた戻ってきて、またどこかや誰かにパスをして、という、ことがモノづくりには必要な訳で、サッカーであれば誰かがゴールを決めなければいけませんが、モノ作りはこそ大局としては蹴鞠をしていく中で何ができるのか?というゲームである。とか言ってみます。一人の人間で出来ることには限りがあるので、パスできるものはしてみよう、という所存。


では本題、文章というものは起承転結を意識して書くというのが基本ではありますが、なんとなくケツからWHY?形式でいってみようと思います。はい、結論、


「これからの建築は【気体】のようなものになる」


はい、訳が分かりませんね。ご存知レンガ、石、木、鉄、コンクリート、ガラス等々、もちろんこの世の中のほとんどの建物は、重くて硬くて動かない物質で構成されています。


ここでいう「気体のような」というのは建物それ全体として、カクカクした動かないガンダム(【固体】)のようなものではなくて、泡みたいなものになるんじゃないかな?という。


建築の歴史的な潮流の説明は『現代建築入門/ケネス・フランプトン』や『現代建築史/ケネス・フランプトン』に譲りますが、もう少し身近にある現代の建築の最先端のうちの一部分を参照すると…


宇宙船のような様相で物議を醸した、国立競技場の初期候補案だったザハハディドアーキテクツやその流れを汲むMAD architectの設計による、グネグネした建物たち。



日本だと伊東豊雄さんや妹島和世さん、石上純也さんに平田晃久さんらの設計による、クネクネ、ヒラヒラした建物たち。



これらの建物を一言で表すなら、もちろんそれら自体は確固とした物質ではありつつ、個体ではなく【流体】のようなものに見えます。


歴史的にはガウディのサグラダ・ファミリアであったり、ブラジルのモダニズムの巨匠オスカー・ニーマイヤーの建築、芸術家ではありつつフンデルトヴァッサーのもの、ひいてはバロック建築という一様式など、曲面を用いた建物は散見されるものの、それらは"超"珍しい建物として存在こそすれ、一般的な生活を送る人間が触れるものとは異なります。


先にあげた現代の建築家たちの建物も普段の生活でよく見るものかと言われれば、筆者も含め世の大多数の人はカクカクした建物の、2Kだ3LDKだという分類の中でさしたる疑問も抱かずに暮らしているわけですが、ザハハディドアーキテクトによるコンパクトシティ構想なども進んでいるようなので、世の中の全体的な傾向としては【流体】のような建物は増えてきていると言えるのではないかと思っています。


現実に即して言えば、一般的には直線より曲線、平面より曲面の方が造るのに相当なコストがかかるので100年くらい経ったところで世の中の建物全てがウネウネするということはないとは思うものの、建設技術なども進化している現代にあって、カクカク以外のものが増えていくのは夢のある事なのではないかと。


で、さらにこの固体→流体という傾向が進んだ先にあるのは?と考えると………これはもう【気体】ではないでしょうか。非常に浅はかなような演繹的予測かのように思われるかもしれませんが、侮ることなかれ、ここで紹介してみたいのが、外観はまとも…いや、ある程度一般的な住宅のようにみえる藤本壮介さんによるHOUSE Nという住宅。



見た目こそカクカクしていて霧や雲、ホイップクリームや洗顔フォームを泡立てたものというほどに【気体】然とまではしていませんが、各空間が明確に仕切られておらず、緩やかに繋がりあっています。(映画評論でいうところのネタバレのようになるかもしれませんので、何がどうなっているのか詳しくは出版物などを閲覧されてください。)


更に、伊東豊雄さんの台北オペラハウスも、流体→気体になりかけているような。



建築の本質的な事柄のうちの一つに 内側/外側 というものはあり、原始人が住んでいた洞窟のようなものはこそ、気候や外敵などから身を守るための単なるバリアだったのだろうけど、人類が都市環境というものを手に入れ、建築や空間も進化していく中で、空間の内側と外側の関係性、内側同士の空間の関係性などもただ用途毎に仕切るのではなく、より豊かであったり自由な関係性を要するようになってきている、と言えるのではないかと思います。


という訳で、これからの建築は固体→流体→気体(不定形性)という進化を遂げていくだろう。さてはてどんなものができますかね?でした。


ちゃんちゃん。この流れはとても大きな枠組みのなかでの予測(コロナでリアルな場所性というものの要不要もフィーチャーされている昨今ですし)なのですが、他にも大小問わずこういうになるのかな?こういうことって出来ないのかな?という未来予想・思考の錯誤(??)に関しては一個人の頭の中だけでこねくり回していても仕方がないので、時間を作って書き出してみたり機会を作って誰かと議論などもしてみたいなと思います。


また、自分自身は建築史家や学者のような方々ではなく一プレイヤーなので、それらを彼らほどには常々俯瞰的に見ている訳ではないし、ケチな考え方かもしれないけれど、既に輝きまくっている先輩達にさらに光を当ててどうする…というところはあるので…自らも少しずつでもぼんやりと考えていることを実務に落とし込んでいけたらこれは最高だと思います。そんなこんなを実現化するにはまだまだ課題だらけの現状ではありますが、来るなら来い、次世代のスタンダートとなる建物や空間をご所望のお施主様!(笑)


計らずもボリューム大きめかという内容になってしまった等々あり、最低2週間に一回投稿のルールを守れなかった…けどよしとして、次は軽いor短いネタをお送りすることかと思います。


Thank you for reading.

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